2008 Fiscal Year Annual Research Report
RI内包フラーレン製造のためのイオン注入装置の開発
Project/Area Number |
19760609
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
片渕 竜也 Tokyo Institute of Technology, 原子炉工学研究所, 助教 (40312798)
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Keywords | 内包フラーレン / イオン注入 / PIXE |
Research Abstract |
平成19年度に東京工業大学原子炉工学研究所において設計・製作したイオン注入装置を用いて内包フラーレン生成実験を行った。C_60フラーレン薄膜に対し、希ガスのひとつであるクリプトン(Kr)をイオン注入した。内包フラーレン生成の確認は、荷電粒子励起X線放出(Particle Induced X-ray Emission、PIXE)分析により行った。PIXE分析は元素分析であり、内包フラーレンをその構造から検出することはできない。しかし、希ガス原子は不活性であるため、フラーレンに内包されない限り、化合物は作らないと考えられる。したがって、KrがPIXE分析により検出されれば、Kr内包フラーレンが生成されたと考えられる。以上の仮定に基づいてPIXE分析を行った。分析試料は照射後の生成物をトルエンで溶解し、フィルターにより不溶物を取り除いた後、カプトン膜の上に滴下、蒸発乾固して作製した。PIXE分析は東京工業大学原子炉工学研究所の原子科学実験室のタンデム型ペレトロン加速器からの2MeVの陽子ビームを用いて行った。2MeVの陽子の照射によるKrからの励起X線(12.631keV)はシリコン半導体検出器を用いて検出した。PIXE分析の結果、10^<14>個/cm^2程度のKrを内包したフラーレンが生成されていることが分かった。これは、過去に報告されているイオン注入法による^<133>Xe内包フラーレンの生成量を大幅に上回っており、本研究課題で開発されたイオン注入装置の生成効率が高いことが証明された。
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