2008 Fiscal Year Annual Research Report
水チャネルアクアポリン2の細胞内輸送調節~比較生物学からのアプローチ~
Project/Area Number |
19770054
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長谷川 敬展 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50447273)
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Keywords | アクアポリン2 / 腎臓集合管 / 小胞輸送 / 結合タンパク質 / リン酸化 |
Research Abstract |
水チャネルアクアポリン2(aquaporin-2 ; AQP2)は、腎臓集合管の水再吸収を担う重要なタンパク質であり、バソプレシンシグナルにより細胞内の貯蔵小胞と細胞膜間で輸送が調節される。AQP2のC末端領域はプロテインキナーゼAのリン酸化部位を含み、細胞内輸送に重要であることから、この領域に結合するタンパク質の同定が細胞内小胞輸送調節機構の解明に必須であると考えられた。ラットAQP2C末端領域のGST融合タンパク質を複数種(リン酸化変異体を含む)作製して、ラット腎臓髄質部あるいはイヌ腎由来MDCK細胞内での結合タンパク質をプルダウンアッセイ後、SDS-PAGE分離および銀染色により比較解析した。ラット腎およびMDCK細胞の両サンプルにおいて約70kDと約40kDのバンドが顕著に検出された。また、MDCK細胞において約40kDのバンドは非リン酸化AQP2C末端に強く検出されることから、非リン酸化AQP2への結合が、アピカル膜への小胞輸送を抑制的に制御していることが推察された。これらのバンドは近年同定されたアクチン(Noda et al., BBRC 322, 2004 ; J Cell Biol. 182, 2008)およびHSP70(Lu et al., J Biol Chem 282, 2007)と一致した。そのため今後は、これら両タンパク質のMDCK細胞などのin vitroモデル系のみならずin vivo系における動態、特にAQP2リン酸化と結合タンパク質による小胞輸送制御との関わりに着目して、時間・空間的に明らかにしていく必要がある。
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