2008 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質合成におけるヘムと一酸化窒素のクロストーク:翻訳開始因子キナーゼについて
Project/Area Number |
19770099
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 城太郎 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (80375162)
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Keywords | ヘム / 一酸化窒素 / ヘム調節キナーゼ / 自己リン酸化 / S-ニトロシル化 |
Research Abstract |
赤血球成熟の過程において、ヘモグロビンの合成は熱ショック、ヘム不足などのストレスに応答して調節されている。特に、脱核後の網状赤血球では、核による転写調節が不可能となり、ヘモグロビン合成は翻訳レベルで調節を受けることになる。ヘム調節キナーゼ(HRI)は、真核生物翻訳開始因子2α(eIF2α)を基質とするセリン・スレオニンキナーゼであり、ミトコンドリアでのヘム生産量によりグロビンタンパク質の生産量を調節する鍵酵素である。すなわち、網状赤血球がヘム不足に陥ると、HRIは自己リン酸化によって活性化し、eIF2αをリン酸化することで、グロビンタンパク質の合成を停止させる。 今年度は、HRIの(1)自己リン酸化、及び(2)一酸化窒素(NO)との相互作用について研究を行った。(1)については、精製したHRIをトリプシンで消化し、リン酸化ペプチドをGa-IMACカラムを用いて濃縮し、LC-MS/MS解析を行った。その結果、24カ所のリン酸化部位を同定した。また、これらのリン酸化部位の役割について、個々のSer, Thr, Tyrを置換した変異体を作製し、活性測定を行った。(2)については、NO供与体として、S-ニトロソグルタチオンを用いて解析を行ったところ、ヘムが結合したHRIについては、CysのS-ニトロソ化がほとんど見られないのに対して、ヘムを結合していないHRIは、少なくとも4カ所のS-ニトロシル化が確認された。また、S-ニトロシル化によって、活性が有意に上昇することがわかった。S-ニトロソグルタチオンによって修飾されるCys残基を同定するために、CysをSerへと変えた変異体を作製し、そのS-ニトロシル化の程度と活性を比較検討した。
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Research Products
(7 results)