2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜上の脂質ドメインの形成に関与する因子の同定と解析
Project/Area Number |
19770122
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石塚 玲子 The Institute of Physical and Chemical Research, 小林脂質生物学研究室, 研究員 (60342747)
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Keywords | スフィンゴミエリン / 脂質ドメイン / ライセニン |
Research Abstract |
生体膜を構成する脂質分子は、同一膜上で不均一に存在し、ドメインを形成している。脂質ラフトとよぱれるマイクロドメインは、膜を介したシグナル伝達や特異的部位への膜輸送に重要な役割を果たし、種々のウイルス感染の場として働くことが示唆されている。スプインゴミエリンはマイクロドメインの主要な構成脂質であるが、その局在や分布状態がどのように制御され、マイクロドメインがどのように形成されるかは、これまで明らかになっていない。本研究では、スフィンゴミエリンの局在や分布状態を制御する因子を同定することを目的とした。 スフィンゴミエリンはゴルジ体で合成され、細胞膜に輸送される。本研究では、細胞表面のスフィンゴミエリンに結合して細胞死を引きおこす毒素・ライセニンを用いたスクリーニングを行った。この毒素は、ドメインを形成したスフィンゴミエリンに結合し、分散して存在するスフィンゴミエリンには結合しない。通常、細胞膜上のスフィンゴミエリンはライセニンによって認識されるが、スフィンゴミエリンが分散して存在したり、細胞表面に輸送されない細胞は、ライセニンに対し耐性を示すようになる。RNAiにより種々の遺伝子の発現を抑制した細胞群をスクリーニングし、複数のライセニン耐性細胞株を取得した。これら耐性細胞は、スフィシゴミエリンプローブの結合性が減少していた。また蛍光脂質を用いた生化学的解析の結果、スプインゴミエリンの合成活性は保持していたことから、この細胞ではスフィンゴミエリンの輸送や分布状態が変化している可能性が考えられた。
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