2009 Fiscal Year Annual Research Report
RNAの関与する原核生物ゲノム折りたたみ機構の解明
Project/Area Number |
19770145
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大庭 良介 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (30447883)
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Keywords | 大腸菌 / 核様体 / 転写 / 原子間力顕微鏡 / 黄色ブドウ球菌 / 動態制御機構 / ゲノム / 核様体タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、細菌染色体(核様体)の高次構造構築とその構造制御機構が転写と密接に関連しているとの申請者の発見にもとづき、その具体的な機構を分子レベルで解明することを目的とした。 平成20年度までで、構造制御に新生合成一本差RNAが関与していることを明らかにしていた。そこで、平成21年度は、このようなRNA分子と共役して働くタンパク質の同定をメインに解析をすすめた。大腸菌・緑膿菌・枯草菌・黄色ブドウ球菌の核様体タンパク質をLC-MS/MS解析により同定したところ、核様体特異的なタンパク質として、対数期では、大腸菌で157種類、緑膿菌で64種類、枯草菌で89種類、黄色ブドウ球菌で83種類を同定した。定常期では、大腸菌で74種類、黄色ブドウ球菌で139種類を同定した。共通なタンパク質はHuのみであり、細菌の核様体タンパク質は多様化していることが明らかとなった。一方で、核様体タンパク質には、(1)DNA/RNA結合能を持ち、環境の変化に応じてゲノム全体の転写・翻訳・複製を制御する因子、すなわちグローバルレギュレーターと、(2)酸化ストレス因子の無害化に働く酸化還元酵素が豊富であるという共通性が存在した。この結果は、細菌は、核様体タンパク質を多様化させ、環境に応じて変化させるものの、その機能的役割を共通の方向に進化させてきたことを示唆する。今後は、これらのタンパク質中で、転写活性に応じて核様体結合様式を変化させるものを探索し、核様体構造・転写相関の解明につなげたい。
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