2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770207
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
重信 秀治 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別訪問研究員 (30399555)
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Keywords | 生殖細胞 / ショウジョウバエ / システムバイオロジー / マイクロアレイ / 比較ゲノム |
Research Abstract |
生殖細胞は個体を形成する無数の細胞の中で唯一次世代に伝えられる重要かつ特殊な細胞であり,多細胞生物の進化の過程でまず必要となった細胞である。従って,生殖系列の形成やその機能を支える分子基盤が,多くの動物種で保存されていると考えられる。一方,生殖系列は遺伝や進化など種の形成・維持に深く関わっていることから,その多様性を理解することも重要である。本研究では,生殖系列の形成機構の普遍性と多様性,進化を理解するために,モデルとしてキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)始原生殖細胞のトランスクリプトーム情報を収集し,さらに他の生物と比較する。比較対象としては(1)マウス,(2)ショウジョウバエ近縁種をとりあげる。 本年度はD.melanogasterの生殖細胞のマイクロアレイ解析を完了した.胚発生期を通して合計11の発生ステージのトランスクリプトーム情報を収集することができた。さらに,成虫卵巣内の生殖幹細胞のトランスクリプトーム情報も同様に収集することができた。これらを統合的に解析したところ,ショウジョウバエ生殖細胞の遺伝子発現パターンは転写抑制解除の時期を境に大きくわけて2つのモードに分かれることが明らかになった。興味深いことに胚発生後半の遺伝子発現パターンと成虫の生殖幹細胞のそれは非常によく似ていることも明らかになった。 本期後半に,国際コンソーシアムによるショウジョウバエ近縁種12種のゲノムが発表された。現在,データベースを構築して網羅的な生殖系列遺伝子の比較の準備を進めているところである。また,当初の研究計画にはなかったが,ショウジョウバエ以外の昆虫ゲノム情報が急速に蓄積しつつあるので,研究の対象を昆虫全体に拡張することを検討している。
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Research Products
(3 results)