2007 Fiscal Year Annual Research Report
地下生活への適応度合いによる視物質遺伝子の適応進化に関する研究
Project/Area Number |
19770209
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
篠原 明男 University of Miyazaki, フロンティア科学実験総合センター, 助教 (50336294)
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Keywords | モグラ科 / 多様性 / オプシン / 地下適応 / 平行進化 / コウベモグラ |
Research Abstract |
生物は異なる光の波長を感じる視細胞によって色覚を有している。視細胞には光を感じる視物質が存在し、視物質はオプシンとレチナールによって構成されている。光のない環境で生活する哺乳類の光受容感覚器官は、一般的には形態学的に退化していくことが知られているが、近年になり盲目であると考えられてきた哺乳類の光受容感覚器官が、なんらかの機能を果たしている分子生物学的な証拠が明らかとなってきた。しかしながら、オプシン遺伝子が解析された哺乳類の種数は、まだ多くはなく、地下適応とオプシン遺伝子の進化の因果関係は不明なままである。そこで本研究においては、地下への適応度が異なるモグラ科のヒミズおよびコウベモグラの視物質遺伝子を調べることによって、徐々に地下生活に適応してきた哺乳類の視物質遺伝子の適応進化の過程を明らかにすることを目的としている。平成19年度は当初の計画通りに進行し、1)モグラ科の分子系統解析、2)ヒミズおよびコウベモグラのサンプル収集、3)コウベモグラのSWS-1オプシン遺伝子の解析、を行った。その結果、新たに入手したベトナム産のモグラ類を用いてモグラ科の分子系統解析を行うことによって、本研究のバックグラウンドデータとなる地下適応の歴史について、より詳細な分子系統樹を構築することが可能になった。さらに、コウベモグラのSWS-1オプシン遺伝子は、DNAレベルにおける解析の得られた結果内においては、ストップコドン等は発見されなかった。来年度以降に、本年度のフィールドワークによって収集したサンプルを用いて、RNAレベルでの解析を実施したい。
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Research Products
(2 results)