2008 Fiscal Year Annual Research Report
地下生活への適応度合いによる視物質遺伝子の適応進化に関する研究
Project/Area Number |
19770209
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
篠原 明男 University of Miyazaki, フロンティア科学実験総合センター, 助教 (50336294)
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Keywords | モグラ科 / 適応進化 / オプシン / 地下適応 / ヒミズ / コウベモグラ |
Research Abstract |
洞窟など光のない環境で生活する哺乳類の光受容感覚器官は、形態学的には一般的に退化していくことが知られているが、近年になり盲目であると考えられてきた哺乳類の光受容感覚器官が、なんらかの機能を果たしている分子生物学的な証拠が明らかとなってきている。そこで本研究においては、地下への適応度が異なるモグラ科の視物質遺伝子を調べることによって、徐々に地下生活に適応してきた哺乳類の視物質遺伝子の適応進化の過程を明らかにすることを目的としている。昨年度は完全地下生活型であるコウベモグラを用いて解析を行ったが、本年度は半地下生活型であるヒミズのオプシン遺伝子の解析を中心に行った。その結果、ヒミズのSWS-1オプシン遺伝子は、DNAレベルにおける解析の得られた範囲内においては、ストップコドン等は発見されなかった。このことから、半地下生活型のヒミズもコウベモグラと同様にオプシン遺伝子が何らかの機能を果たしている可能性が示唆された。その一方で、コウベモグラとヒミズのSWS-1オプシン遺伝子の解析されたエクソン領域内においては、アミノ酸レベルにおいて3.1%(9/288個)の違いが観察された。DNAレベルにおいてもエクソン領域内で5.2%の変異が観察されており、来年度以降はこれらの変異がオプシン蛋白の表現系に与えた影響や、配列決定済みのイントロン領域の進化速度を解析する必要がある。また、未同定の視物質遺伝子のクローニングをさらに進めることによって、地下生活への適応という進化的イベントが視物質遺伝子に与えた影響を明らかにしたい。
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Research Products
(5 results)