2007 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質のジスルフィド結合に着目した、がん細胞のアポトーシス誘導機構の解明
Project/Area Number |
19780079
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
細野 崇 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, アルツハイマー病研究部, 特認研究員 (80445741)
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Keywords | 酸化ストレス / アポトーシス / ジスルフイド結合 |
Research Abstract |
酸化ストレスに誘導されるアポトーシス経路は,酸化ストレス→[ブラックボックス]→ミトコンドリアからのシトクロムcの放出→カスパーゼの活性化→DNAの断片化-アポトーシスの誘導と考えられている。しかしながら,酸化ストレスの直接の標的分子は明らかではない。本研究は,酸化ストレスによる,がん細胞のアポトーシス誘導の標的分子を明らかにすることを目的としている。本年度は酸化ストレスを誘導することを既に報告したalk(en)yl trisulfidesによる細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成の意義を検証した。側鎖の異なる9種類のalk(en)yl trisulfidesを用い,ヒト大腸がん細胞株HT-29の細胞増殖に及ぼす影響を検討した結果,飽和型のalkyl基を持つtrisulfideと比べて不飽和型のalkeny1基を持つtrisulfideは強い細胞増殖抑制を示した。不飽和型のalkenyl trisulfideは,微小管形成を阻害し,細胞周期のM期アレストを誘導した。その際,微小管構成タンパク質であるtubulinのSH基とtrisulfide間で新たなdisulfide形成が必要であった(Carcinogenesis,submitted for publication)。SH基とtrisulfide間での反応性は不飽和型のalkenyl trisulfideでより強く,disulfideの形成が細胞機能の制御に関与することが示唆された。一方,不飽和型のalkenyl trisulfideにより比較的初期にJNKの活性化が見られ,それを阻害することで細胞死が抑制されることを見い出した。現在,不飽和型のalkenyl trisulfide負荷からJNK活性化に至る経路についてジスルフィド結合形成タンパク質に着目したRedox-2D PAGE法を用いて検討を行っている。
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