2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19780155
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
森田 健太郎 Fisheries Research Agency, 北海道区水産研究所・亜寒帯漁業資源部, 主任研究員 (30373468)
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Keywords | サケ科魚類 / 野生魚 / 個体群動態 / ベーリング海 / 成長 / 生息密度 / 水温 / 自然産卵 |
Research Abstract |
最終年度であるH21年度は,補足的な野外調査を実施するとともに,これまでに得られた野外調査の結果のとりまとめを中心に行い,学会発表および論文作成に精力的に取り組んだ.主なものとして,サクラマス幼魚の個体群密度の緯度的変化および季節的変化に関する分析結果を台北で開催されたFormosa Landlocked Salmon and Masu Salmon Symposiumにおいて口頭発表するとともに論文執筆を行った(2編の論文として投稿中).海洋におけるサケ科魚類の生息適水温に関しても論文執筆を行った.また,海洋におけるカラフトマスの資源密度を規定する要因については,データ分析をさらに進め,3月末の日本生態学会でポスター発表をおこなった.さらに,サケ科魚類の個体数制限要因に関する国内外の知見について資料を収集し,本研究課題で得られた結果との比較および統合的な分析を進めた.サケ科魚類は川で産卵し稚魚期を過ごした後,海へ下り大きく成長するため,大きく異なる2つの生息環境を利用している.河川では密度依存的な死亡・成長に加えて,密度非依存的な環境変化による死亡(移出入)が大きく,海洋では密度依存的な成長がおもな個体数制限要因になると考えられた.海洋での密度依存的な成長は,産卵数の低下という現象を通して個体群増加率の低下をもたらすと考えられた.このように,サケ科魚類の個体数制限要因を解明するためには,海洋と河川の双方を包括的に理解する必要があると考えられた.
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