2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオサーファクタントを用いた新規非ウイルスベクターの開発
Project/Area Number |
19790041
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
伊納 義和 Aichi Gakuin University, 薬学部, 助教 (90434547)
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Keywords | 遺伝子治療 / 遺伝子導入 / 非ウイルスベクター / バイオサーファクタント / in vivo |
Research Abstract |
遺伝子治療において重要な研究課題は安全で遺伝子導入効率の高いベクターの開発である。今日の遺伝子治療においては大半の事例でウイルスベクターが用いられているが、その安全性に対する問題はかねてから指摘されてきた。そして近年、ウイルスベクターによる死亡例が報告されて以来、非ウイルスベクター開発の重要性が特に強く指摘されるようになった。しかし、これまで数多くの非ウイルスベクターが開発されているものの、十分な遺伝子導入効率は達成されていないのが現状である。 そこで、申請者はこれまで全く試みのなかったバイオサーファクタントに着目し、正電荷コレステロール誘導体を素材とした正電荷リボソームにバイオサーファクタントを含有した正電荷リボソームを用いると遺伝子導入効率が飛躍的に向上することを見出した。このバイオサーファクタントを含有した正電荷リボソームは従来の正電荷リボソームとは異なり、ウイルスベクターと類似した細胞内への遺伝子導入機構、すなわち細胞膜との融合により迅速かつ大量に導入遺伝子が細胞内及び核内に導入されるという特色を有した新規非ウイルスペクターである。本申請研究は、これらの独創的な成果から開発されたバイオサーファクタントを含有した正電荷リボソームを用い、in vivoへの展開を試みた。その結果、マウスの腹腔内に腫瘍を形成させ、その後、バイオサーファクタントを含有した正電荷リボソーム-遺伝子複合体を腹腔内に投与したところ、従来の非ウイルスベクターと比較して、腹腔内腫瘍への遺伝子導入効率が著しく上昇することを明らかにした。また、市販のコレステロール誘導体であるDC-Cholからなる正電荷リポソームと比較しても100倍以上高い遺伝子導入効率を有していることが明らかとなった。 本申請研究の遂行は、遺伝子治療分野において安全で遺伝子導入効率の高い非ウイルスベクターの開発に対して意義の大きい研究であると言える。
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