2008 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン様化学物質によるエピジェネティクスへの影響に関する研究
Project/Area Number |
19790109
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
佐藤 浩二 Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences, 薬学部, 助教 (10445893)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 環境 / 衛生 / 発現制御 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / エストロゲン |
Research Abstract |
平成20年度も前年度に引き続き、子宮癌細胞と乳癌細胞の培地中にエストロゲン様作用を持つ化学物質を添加し、DNAメチル基転移酵素Dnmt1、Dnmt3a、Dnmt3b等の発現に及ぼす影響を調べ、そのメカニズムを考察した。mRNAの発現量はリアルタイムRT-PCR法で、タンパク質の発現量はウェスタンブロッティング法で定量を行った。子宮癌細胞では10〜20μMの高濃度のエストラジオール(E2)、ジエチルスチルベストロール(DES)でDnmt3a、Dnmt3bのmRNA、タンパク質がともに減少していたが、乳癌細胞では10pM〜10μMの濃度でDnmt1、Dnmt3bのmRNA、タンパク質は逆に増加していた。使用した細胞のエストロゲンレセプター(ER)及びエストロゲン関連レセプター(ERR)の発現を調べたところ、子宮癌細胞ではERαの発現量は小さかったが、乳癌細胞では大きかった。一方、ERRの発現は両者に大きな違いはなかった。DNAメチル基転移酵素の発現制御機構については未だに明らかにされていないものの、ERK/MAPキナーゼ経路の関与が報告されている。本研究でも、MEK(MAPキナーゼキナーゼ)阻害剤のPD98059を添加することによって、DNAメチル基転移酵素の発現が低下することが認められた。エストロゲン様物質がERK/MAPキナーゼ経路を活性化するかどうか今後の検討が必要と思われた。本研究から、エストロゲン様物質を培地に添加することにより、DNAメチル基転移酵素の発現が変化することが分かったが、その細胞による詳細なメカニズム、関与するレセプター等の分子などは明らかとなるまでには至らなかった。また、本研究で観察されたDNAメチル基転移酵素の発現変化が、実際にどの程度の影響(DNAメチル化の変化やそれによる細胞機能の変化等)を及ぼすのかについても今後の検討課題として残った。
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Research Products
(3 results)