2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 龍平 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (90376468)
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Keywords | 発現制御 / 薬理学 / 生理学 / 脂質 / トランスポーター |
Research Abstract |
消化管からのコレステロール吸収は生体内の脂質恒常性維持に重要な役割を果たし、脂質トランスポーター分子の相次ぐ発見・新規脂質異常症治療薬エゼチミブの誕生により、ここ数年で急速に研究が進んでいる。本研究においては、小腸上皮細胞・肝細胞の頂端膜においてコレステロール・植物性ステロールの胆汁ミセルからの吸収に働き、エゼチミブの薬効標的でもあるNiemann-PickC1-like1(NPC1L1)が多層的な発現調節を受けているという仮説のもと、特に転写調節・翻訳後調節に着目して研究を進めた。 翻訳後調節として想定したNPC1L1-Insig相互作用に関しては、両遺伝子の発現ベクターを同時導入した共発現細胞を用い免疫沈降実験を行った結果、両蛋白質間の分子間共役は示唆されたものの、これはNPC1L1がERを通過する際に生じる一過性の弱い相互作用である可能性が考えられた。 ヒトNPC1L1の転写調節については、昨年度明らかにしたSREBP2/HNF4αによるコレステロール依存的制御に加え、脂肪酸を生理的リガンドとする核内受容体PPARα/NR1C1による正の制御が見出された。5'-上流域へのPPARαの直接結合を介したこの制御は、エゼチミブと同時使用されうる他の脂質異常症治療薬群であるフィブラート系薬剤により活性化することから、脂質異常症の薬物治療における薬剤選択にも示唆を与える知見である。さらに、糖尿病時に機能上昇がみられるPGC1αがSREBP2/HNF4αおよびPPARαによるヒトNPC1L1転写活性を亢進することが明らかとなり、相互に増悪因子となることが知られる高脂血症と糖尿病の病態生理の解明に向けた重要な一歩となることが期待される。
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