2008 Fiscal Year Annual Research Report
主観的経過時間評価を用いた睡眠障害における認知機能メカニズムの解明
Project/Area Number |
19790185
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
有竹 清夏 National Center of Neurology and Psychiatry, 精神保健研究所・精神生理部, 外来研究員 (50415577)
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Keywords | 時間認知 / 睡眠障害 / 睡眠 / 認知科学 / 脳・神経 / 生理学 |
Research Abstract |
【研究目的】 一部の不眠症患者は、実際の睡眠時間は質・量ともに正常であるにもかかわらず、主観的には眠れないと苦痛を訴える(主観的および客観的睡眠時間の乖離)という睡眠状態誤認に陥っている。本研究では、主観的及び客観的睡眠時間の乖離メカニズムとその制御法に関する基盤データを取得することを目的に、睡眠時間、睡眠深度、睡眠効率、中途覚醒時間、生体リズム位相などの客観的睡眠パラメータが、主観的睡眠感にどのように影響するか、40-80短時間睡眠・覚醒スケジュール法を用いて明らかにした。本研究は研究代表者が所属する国立精神・神経センター武蔵地区倫理委員会の承認を得たものである。 【研究方法】 規則正しい睡眠習慣であることを確認した健常成人男性11名を対象とした。実験1日目の午後2時より、シールドルーム内において50時間にわたり40分の就床、80分の離床を繰り返し行った。40分の就床区間終了時および離床区間開始40分の時点において、被験者に主観的経過時間を評価させた。実験中は自記式スケールにて眠気・気分などの心理状態を把握しながら、全ての被験者に対し深部体温測定、ホルモン測定による生体リズム位相を判定するとともに、睡眠ポリグラフ記録を行い、睡眠ポリグラフ解析により睡眠・覚醒度を判定した。 【研究結果と考察】 主観的睡眠時間は有意な概日変動を示し、午後8時前後で最低を示した後、朝方に向けて延長し午前8時に最大となった(約3倍)。さらに午後8時前後では睡眠時間をほぼ正確に評価していたが、朝方に向けて過大評価するという乖離傾向がみられた。これらの結果は睡眠状態誤認などの不眠症患者の病態メカニズムの解明に役立つと考えられる。
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Research Products
(24 results)