2007 Fiscal Year Annual Research Report
RETチロシン1062下流のシグナルの個体発生に果たす役割の検討
Project/Area Number |
19790287
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
時々輪 真由美 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 助教 (50378006)
|
Keywords | RET / GDNF / 精子形成 / 精子幹細胞 / 自己複製 / 分化抑制 |
Research Abstract |
RETチロシン1062を介するシグナルと精子幹細胞の自己複製能とのかかわりを解明するため、RETのコドン1062のチロシンをフェニルアラニンに置換したRET Y1062Fノックイン(KI)マウスの精巣について精子形成の異常を検討した。生後0、7、14、21、28日の野生(Wt)型、He変異型、Ho変異型のRET Y1062F KIマウスから精巣を摘出し、重量を計測したところ、Hoマウスでは14日目以降精巣が萎縮することがわかった。組織学的に検討したところ、精細管の数は同等であったが、Hoマウスでは14日目以降精細胞数が徐々に減少し、28日目にはほぼ消失していた。精細胞の減少が精子幹細胞の何らかの異常に起因するのではないかと考え、これらの精巣を抗RET抗体で免疫染色し、RET陽性細胞の数を定量した。その結果、生下時においてはRET陽性のgonocyte(精子幹細胞のもととなる細胞)の数に差はなかったが、Hoマウスでは生後7日目にはRET陽性細胞が減少し始め、生後14日ではごくわずかに残存するのみであった。さらにWt、Heマウスではその後もRET陽性細胞が維持され、精子を産生し続けるのに対し、Hoマウスでは生後28日で完全にRET陽性細胞が消失し、精子は確認されなかった。RET陽性細胞の中に精子幹細胞が含まれていることから精子幹細胞が減少していることが予想され、抗PLZF抗体(幹細胞のマーカー)で免疫染色し、精子幹細胞の数を定量したところ、RET陽性細胞と同じ動向を示した。TUNEL法による検討でアポトーシスは精細胞の減少への関与は少ないと考えられた。これらのことからRET Y1062F KIマウスではRET陽性の精子幹細胞が自己複製することなしに分化してしまい、消失するものと考えられ、RETチロシン1062を介するシグナルは精子幹細胞の自己複製に関係することが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)