2009 Fiscal Year Annual Research Report
交替制勤務者の生活習慣病および前立腺がんリスクに関する後ろ向きコホート研究
Project/Area Number |
19790437
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
久保 達彦 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 講師 (00446121)
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Keywords | 産業医学 / 交替制勤務 / 生活習慣病 / 前立腺がん / 肥満 / 体内時計 |
Research Abstract |
不規則な生活習慣を強いられる交替制勤務者においては従来から肥満、糖尿病等の生活習慣病のリスクが高まる可能性が報告されている。近年では特に前立腺がんなどの悪性腫瘍のリスクが上昇する可能性が注目されており、世界保健機構(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)は"交替制勤務(概日周期の乱れを含む)"による発ガン性をグループ2A(ヒトに対して恐らく発ガン性がある)に分類するに至っている。本邦においては推計520万人の交代性勤務従事者がこれらのリスクに晒されている可能性がある。一方で従来から交替制勤務による健康影響については数十年に渡る交替制勤務への就業歴の把握が困難であることなどから、精度の高い疫学的評価は困難であるという指摘があった。このような問題に対処し交替制勤務に従事する労働者の生活習慣病リスクの質の高い評価を実施することを目的として本研究が計画された。研究最終年となる本年は某研究協力企業から提供を受けた1981年から記録の始まる交替制勤務従事歴及び定期健康診断データ等の最終的な分析が行われた。研究ではまず種々の生活習慣病の基礎疾患として注目される肥満リスクについての評価が実施された。その結果、交代制勤務者においては勤務開始後10年ほどたってから肥満リスクが健在化するという実態が生存曲線によって視覚的に明らかされた。また前立腺がんリスクについては統計学的には有意ではないもののリスクが高まっている傾向が観察された。これらの研究結果はICOH(国際労働衛生委員会)の専門分科学術集会である19th International Symposium on Shiwork and Working Timeにおいて発表された。なお研究の質が評価された結果、同シンポジウムでは本研究のみが特例として一演者複数口頭発表を認められた。研究成果は英語論文にまとめられ原著論文として投稿されている。
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Research Products
(4 results)