2008 Fiscal Year Annual Research Report
被疑者特定を目的とした男女混合試料からのDNA検出法の確立
Project/Area Number |
19790450
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
勝村 聖子 Tsurumi University, 歯学部, 助教 (50410048)
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Keywords | mitochondrial DNA / レーザーマイクロダイゼクション / 男女混合試料 / 個人識別 |
Research Abstract |
近年, 犯罪の煩雑化に伴い, 性犯罪についても加害者および被害者が複数関与するような事例も少なくない. そこで, 本研究においては, 性犯罪をはじめとした男女混合試料を中心に, 関与する個人を特定することを目的とし, 法医学的個人識別への応用について検討している. 昨年度に引き続き, インフォームドコンセントを得た成人ボランティアより提供された膣内容液および複数の男性精液を混合した試料からDNAを抽出し, mitochondrial DNA (mtDNA) sequence配列を検出した. 一方で, 試料の一部から塗抹標本を作製し, レーザーマイクロダイゼクションで精子を単独採取し, 個々の精子について航DNAを検出, 対照試料である頬粘膜細胞と比較した結果, それぞれの精子が由来する男性を特定することが可能であった. これは性犯罪資料の鑑定において, 複数の男性の関与が疑われる事例であっても, 特定の男性が関与したか否かを判断可能であることを示唆する結果である. また, 精子の存在が確認されている膣内容液の既存試料より, 同様に精子を単離採取し, 精子からのDNA sequence解析を試みた結果, 成功した. すなわち, 人為的に作製した新鮮試料のみならず, 実務を想定した陳旧試料に対しても本法は応用可能であった. 実際の犯罪資料は汚染や陳旧程度など, 様々な環境下で保存されていたものが対象となる. 今後, それぞれの環境に伴う試料への詳細な対応策を検討する必要は残されたものの, 正確かつ迅速な検査結果を求められる犯罪捜査において, 本法は性犯罪に関わる人物の特定を促し, 事件の早期解決に役立つことが示唆された.
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