2009 Fiscal Year Annual Research Report
被疑者特定を目的とした男女混合試料からのDNA検出法の確立
Project/Area Number |
19790450
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
勝村 聖子 Tsurumi University, 歯学部, 助教 (50410048)
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Keywords | 体液混合試料 / mitochondrial DNA / レーザーマイクロダイゼクション |
Research Abstract |
本研究は、種々の犯罪資料における迅速かつ信頼性の高いDNA検査法の開発を目的としている。犯罪件数増加とともに凶悪化や複雑化が進む中、特に性犯罪が関与する凶悪犯罪は顕著であり、冤罪事件の発生もあって、その適切な捜査対応について国民の注視を受けている。これらの背景の中、私は複数男性が関与する強姦事件を想定し、犯罪現場に残された微量に混在した体液資料からの選択的DNA型検出法の開発について検討している。 昨年度に引き続き、膣内容液および複数の男性精液を混合した試料から塗抹標本を作製し、レーザーマイクロダイゼクションで精子を単独回収し、mitochondrial DNA(mtDNA)を検出した。その結果、DNA型が検出された精子については、対照試料である頬粘膜細胞と比較することで、由来する男性を特定することが可能であった。これは性犯罪資料の鑑定において、複数の男性の関与が疑われる事例であっても、特定の男性が関与したか否かを判断可能であることを示唆する結果である。一方で、研究対象の検体数増加に伴い、DNA型が検出不可能となる例も多く認められた。レーザーマイクロダイゼクションを用いて顕微鏡下で精子を回収する際、背景にある液状成分が含まれることはやむを得ない。しかしこの液体中には膣内や精液中の脱落成分に由来するDNAが含まれている可能性もあり、これによりDNA型の検出が困難になっていると考えられた。液体成分中に含まれるmtDNAの存在の証明や、それらの脱落DNAを確実に除去する方法について、混合試料の洗浄などを現在検討している。 実際の犯罪資料は汚染や陳旧程度など、保存状態は一様ではない。様々な環境に伴う試料への詳細な対応策を検討する必要は残されたものの、本法は正確かっ迅速な検査結果を求められる犯罪捜査において役立つことが示唆された。
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