2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790580
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松原 雄 Kyoto University, 医学研究科, 特定病院助教 (90422964)
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Keywords | 老化 / 細胞・組織 / 病理学 |
Research Abstract |
本研究では、加齢性腎障害の分子機構を解明することを目的とし、その手段として、本年度は、糸球体硬化制御因子への注目、加齢腎の病理変化と老化関連因子との相互作用を検討した。 糸球体硬化制御因子への注目という点に関して、本年度は、糸球体硬化の特徴であるIV型コラーゲン産生亢進を直接制御する転写因子Smad1に注目し、尿中ELISA測定系を確立することに成功した。次に、加齢性腎障害と同じく糸球体硬化病変をきたす糖尿病性腎症のモデルラットにおいて尿中Smad1を測定し、腎症早期の尿中Smad1が後の進行性糸球体硬化を予測出来ることを示した。さらに、IV型コラーゲンの発現を制御する別の因子としてSox9を同定した。 次に、加齢腎の病理という点では、本年度は、まず、野生型マウスの加齢に伴う糸球体変化を解析し、加齢に従い、我々が同定した新規増殖因子Gas6の糸球体発現が増加することをみいだした。そこで、Gas6ノックアウトマウスにおける糸球体加齢性変化を解析し、病変が抑制されることを示した。Gas6の下流に位置するシグナル伝達因子には、老化関連因子として注目され、同時に硬化責任分子Smad1と関連をもつ分子も存在するという点で、老化と糸球体硬化を結ぶ新たな分子機構の解明が期待できる。 老化関連因子との相互作用という面では、本年度は、糸球体硬化に伴うメサンギウム細胞の形質変化を担う因子E2Aの共役蛋白として同定したPIASyをメサンギウム細胞に強発現させることで、メサンギウム細胞の形質変化のマーカーである平滑筋αアクチンの転写活性が上昇する結果を得た。申請者は先述の硬化制御因子Smad1が平滑筋αアクチンの転写活性を亢進させることを既に示しており、硬化関連因子と老化関連因子が細胞の形質変化という形で統合する可能性を示唆している。
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Research Products
(6 results)