2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790613
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石橋 大輔 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10432973)
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Keywords | 脳神経疾患 / 感染症 |
Research Abstract |
プリオン病は、ヒトやウシにおける感染(同種感染)、ウシからヒトへの感染(異種感染)が大きな社会問題となっている伝播性の難治性中枢神経変性疾患である。世界中でプリオンワクチンおよび治療法の開発が精力的に進められているが、正常型プリオン蛋白(PrP)は生体内の宿主蛋白であり、免疫寛容という大きな問題点があるため、実用化までには至っていない。本研究では、実用化に向けたプリオンワクチンの開発を検討することを目的とした。平成19年度までに、マウスプリオン感染に対し抑制効果のある抗PrP抗体の認識エピトープに相同性のあるウイルスや細菌由来の蛋白をマウスへ免疫を行い、免疫後の血清はマウスPrP自身の抗原に対して高い抗体価を示すことを報告した。そこで本年度では、これらの血清における抗プリオン活性について検討した。1) 免疫後の血清をヒト由来のプリオン株を感染させたプリオン持続感染細胞に添加し、異常型PrPの発現について検討したところ、抗体価が高い血清ほど異常型PrPの発現を減少させた。2) 免疫したマウスにヒト由来のプリオン病原体を感染させ発症までの潜伏及び生存期間について調べた。免役したマウス群では潜伏生存期間ともに延長の傾向が見られたが有意な差はなかった。3) 各抗原の免疫により。マウスPrPに交差性のある抗体が発現しても、早期に死亡するマウスなどはなかったことから、安全性の面でも有用であると示唆された。以上のことより、まだ研究レベルの域を出ないプリオンワクチンではあるが、本研究の結果がプリオンワクチンの実用化に向けた大きな一歩となり、不治の病であるプリオン病の予防及び治療法の一つになることを期待している。
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Research Products
(6 results)