2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジフテリアトキシン受容体強制発現システムを用いたグレリン分泌低下マウスの開発
Project/Area Number |
19790648
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有安 宏之 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (50378650)
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Keywords | グレリン / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
前年度までに開発した、グレリン分泌細胞にヒトジフテリアトキシン(DT)受容体を過剰発現するマウスを継代・繁殖させた後、ライン選定を開始した。ライン選定は、遺伝子改変マウス(Tgマウス)に、DTを外来投与した後に血液および胃を採取し、血中グレリン濃度を測定することと、グレリン抗体を用いた免疫組織染色を行い判断することとした。投与経路は既報にならい筋肉注射を選択した。至適投与量・投与回数の検討も同時に開始した。具体的には、投与量は10ng/kg、50mg/kgもしくは500ng/kg、投与回数は単回もしくは2回(day0とday2)とした。得られていた4ラインのTgマウスのうち2ラインにおいて、グレリン分泌細胞の減少と血中グレリン濃度の低下を確認することができた。一方のマウスが500ng/kgのDTを要するのに対し、もう一方のマウスはその1/10の50mg/kgのDTでグレリン分泌細胞の減少と血中グレリン濃度の低下を認めた。後者のラインを以降の実験に使用することとし解析をさらに進めた。このTgマウスにおいて、DT受容体は胃・十二指腸で発現していることが確認できた。このTgマウスに、50ng/kgのDTを2回(day0とday2)投与すると、day4において血中グレリン濃度が、5.3±2.3 fmol/mlと、著明に低下していることがわかった(野生型マウス60.5±7.0fmol/ml)。また、免疫組織染色を用いた検討でも、グレリン分泌細胞が著しく減少することが確認できた。定量PCR法を用いて、胃・十二指腸・下垂体・視床下部におけるグレリンmRNA遺伝子発現も併せて検討したところ、DT投与によって胃・十二指腸のグレリンmRNA低下は認めたものの、下垂体・視床下部のグレリンmRNA低下は認めなかった。このように、生後の随意の時期に循環血中グレリンを低下させうるマウスの開発に成功した。このマウスは、グレリンの生理的役割を解析する上で非常に有用なツールとなりうる。
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Research Products
(4 results)