2008 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息におけるIκBキナーゼβの役割と分子標的治療への展開
Project/Area Number |
19790685
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小川 博久 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50403754)
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Keywords | 気管支喘息 / 気道アレルギー性炎症 / IKKβ / NF-κB / Th2サイトカイン / Th1サイトカイン / NGF |
Research Abstract |
本研究は卵白アルブミン(OVA)やダニ抗原による気管支喘息モデルに対し、IKKβ阻害剤、IMD-0354を投与し、気道抵抗とアレルギー炎症におけるIKKβの役割を解明し、その分子制御による治療法開発の可能性について検討する目的で行われている。本年度はIMD-0354投与による、サイトカインや増殖因子の変化、また神経原生炎症に対する影響についてIKKβの役割を検討した。 方法として、ダニで感作された喘息モデルに感作後から抗原チャレンジ後までの間、IMD-0354を腹腔投与し、上記アレルギー炎症のパラメータ変化について検討した。 その結果、IMD-0354を投与したマウス群ではBALF中や肺ホモジネート中のIL-5, IL-13、eotaxinや血清中IgE産生が減少した。一方IL-12やIFN-γ産生はコントロールマウスと同程度まで回復した。神経原生炎症に関与するnerve growth factor(NGF)についてはアレルギー性炎症によりBAL中に増加し、IMD-0354投与で減少した。NGFの産生部位は主として気道上皮細胞であり、Dp暴露によって気道上皮NGF陽性細胞数は減少し、IMD-0354投与によって気道上皮NGF陽性細胞数はコントロールマウスと同程度まで回復した。 結果から、細胞内に移行したIMD-0354は細胞質内のIKKβを阻害することにより、NF-κBの活性化を阻害し、炎症性サイトカインや増殖因子産生の抑制や、NGFの分泌の抑制を誘導し、気管支喘息の気道過敏性亢進や気道アレルギー性炎症を抑制すると考えられた。以上からIKKβ活性化はアレルギー性炎症増悪にも関与し、気管支喘息の発症や増悪に重要な役割を果たしていると考えられ、この成果はIKKβを標的とした気管支喘息治療は有用であると考えられた。
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Research Products
(4 results)