2007 Fiscal Year Annual Research Report
喘息患者好中球のFcεRIを介した活性酸素種の産生と炎症増幅因子としての役割
Project/Area Number |
19790696
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
吉丸 哲郎 Nihon University, 医学部, 研究員 (80424729)
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Keywords | FcεRI / 活性酸素 / 好中球 / 気管支喘息 |
Research Abstract |
本研究は、気管支喘息罹患時の好中球に機能的なFcεRIが発現することに着目し、喘息症状の重症度とFcεRIを介したROSの産生量を相関させることにより、喘息罹患の度合い、重症度の判定ならびにROSを標的とした新規の治療法の提案を目的にするものである。 まず、症状ならびに重症度で分類した喘息患者の血液から、比重遠心法により好中球を単離し、好中球表面上のFcεRI発現量をフローサイトメトリーにより調べた。その結果、健常者の好中球はその表面にFcεRIをほとんど発現していないにも関わらず、喘息患者の好中球は機能的なFcεRIを発現していることを確認した。そこで、喘息患者から採取した好中球がダニ抗原によりROSを産生するかどうかを検討した。ウミホタルルシフェリン誘導体MCLAを用いた化学発光法による解析から、ダニ抗原による刺激は、刺激後数分以内に顕著な細胞外へのROS産生を惹起することを明らかにした。この反応は、SOD存在下では著しく減少するが、カタラーゼの影響は受けないことから、ダニ抗原刺激により細胞外にsuperoxideが遊離されるものと考えられた。なお、健常人の好中球では、上記の反応は見出せなかった。次に、このROS産生を制御する薬剤を探索した結果、NADPH oxidaseの強力な阻害剤であるdiphenyleneiodoniumが用量依存的に抑制した(30μMで>70%の抑制)。また、FcεRIの構成鎖であるSrc-like kinase、Syk kinaseの選択的阻害剤によってもほぼ完全に抑制された。以上の知見は、喘息の主要アレルゲンであるダニ抗原に曝露された即時相の段階において、マスト細胞の活性化と同様に、FcεRIを介して好中球が活性化され、細胞外にROSを放出することがアレルギー疾患の増悪に関与すると示唆された。
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