2008 Fiscal Year Annual Research Report
喘息患者好中球のFcεRIを介した活性酸素種の産生と炎症増幅因子としての役割
Project/Area Number |
19790696
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
吉丸 哲郎 Nihon University, 医学部, 研究員 (80424729)
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Keywords | FcεRI / 活性酸素 / 好中球 / 気管支喘息 |
Research Abstract |
本研究は、気管支喘息罹患時の好中球に機能的なFcεRIが発現することに着目し、喘息症状の重症度とFcεRIを介したROSの産生量を相関させることにより、喘息罹患の度合い、重症度の判定ならびにROSを標的とした新規の治療法の提案を目的にするものである。昨年度は、重症気管支喘息患者の好中球が機能的なFcεRIを発現すること、ダニ抗原の刺激によって数分以内に細胞外へのROS産生、特にsuperoxideの遊離が顕著に惹起することを明らかにした。 本年度は、まず喘息患者における重症度とFcεRIを介したROS産生能の相関性を中心に解析した。その結果、気管支喘息の重症度とFcεRI発現量とROS産生能の相関関係についてANOVAによる統計学処理を行ったところ、FcεRIを介したROS産生能が喘息重症度診断の重要なファクターになり得る可能性を示した。さらに、申請者らはマスト細胞活性化反応のシグナル伝達において細胞内ROSが重要なシグナルとなることを提示している。そこで、superoxide選択的プローブdihydroethidineを用いて好中球内のsuperoxideをモニターし、健常人と喘息患者間での好中球活性化による好中球内のROS産生について検討した。その結果、ダニ抗原刺激により喘息患者の好中球内にsuperoxide産生の可能性が示唆されたことから、好中球内に産生されたsuperoxideが好中球の刺激応答のシグナル伝達における分子シグナルとして機能することを推察させた。 以上の知見は、喘息の主要アレルゲンであるダニ抗原に曝露された即時相の段階において、マスト細胞の活性化と同様にFcεRIを介して好中球が活性化され、好中球内外にROS、特にsuperoxideを産生することが気管支喘息疾患の増悪や気道炎症の発症に関与することが示唆された。
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Research Products
(1 results)