2008 Fiscal Year Annual Research Report
フォンタン型循環における肺血管のエンドセリン関連蛋白の分布とその動態
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19790718
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 葉子 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (50437323)
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Keywords | 肺血管 / エンドセリン / フォンタン循環 |
Research Abstract |
Fontan循環での肺血管局所におけるEndothelin systemの役割を明らかにするため、Fontan術後死亡例の肺の組織学的検討とその臨床背景の比較検討を行った。対象は1982年から2000年までにFontan型手術を施行され、その後死亡した10例(F群)と、正常に照(心疾患以外の死亡例)4例(N群)である。それらの剖検肺組織を用いて、EVG染色およびエンドセリン-1、エンドセリンレセプターA(ET-_AR)、B(ET-_BR)の免疫組織染色を行い、その発現パターンを解析した。また、リアルタイムPCR法を用いて、それらのmRNA発現の定量化を試みた。【結果】死亡時年齢はF群 : 13.0±6.1歳、N群 : 10.0±1.5歳であった。Fontan手術から死亡までの平均年数は4.9±3.9年で、術後の平均肺血管抵抗値は、3,0±0.7U・m2であった。肺動脈壁厚(% Wall Thickness)は、肺動脈径を500μm以上、100-500μm、50-100μmに分類すると、N群でそれぞれ、17.1±2.1、15.9±2.6、11.1±2.9であったのに対して、F群ではそれぞれ、20.8±2.7、25.2±4.0、26.7±3.9と、中小肺血管において有意に肥厚していた。免疫組織染色では、肺血管におけるET-1、ET-_AR、ET-_BRの発現は、どの径でもF群において有意に上昇していた。また、リアルタイムPCR法にても有意な発現の上昇が確認された。この事から、Fontan循環を破綻させる要因として、エンドセリンとそのレセプターの過剰発現が関与している可能性が示され、近年使用頻度が高まっているエンドセリンレセプター拮抗薬の治療有用性が示唆された。
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