2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能的MRIを用いた統合失調症の注意に関わるネットワークの障害に関する研究
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19790838
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
松田 哲也 Tamagawa University, 脳科学研究所, 助教 (30384720)
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Keywords | 統合失調症 / fMRI / 注意 |
Research Abstract |
本研究は機能的MRIによる脳部位間効果(inter-regional effect)の解析を行い、多感覚情報(視聴覚情報)入力時における注意の配分と注意の切り替えによる脳部位間の結びつきの変化を健常者ならびに統合失調症患者で求め、その違いを調べることで統合失調症の構えの障害の詳細を「注意の分配」「注意の切り替え」というレベルで明らかにすることを目的とした。 そこで本年度は、1. 視聴覚刺激を用いた注意の分配・切り替えに関与する神経ネットワーク解析(健常者・統合失調症患者)2. 統合失調症の注意の分配・切り替えに関与する神経ネットワーク異常の同定(健常者と統合失調症との比較)の2つのテーマに従い研究を行った。まず、注意に関連するネットワークについては、注意の分配に関連する領域として、健常者では聴覚に100%注意を向けているときには両側上側頭回の活動が、視覚に100%注意を向けているときには後頭葉視覚野の活動が認められた。また、注意の転導に関連する部位として、両側中心前回、頭頂小葉、上前頭回、線条体の活動が認められた。注意の転導については、視覚から聴覚へ、聴覚から視覚へという切り替えのパターンによる活動の賦活の違いが認められなかった。一方統合失調症では、注意の分配に応じた活動パターンを示さず、モダリティーの違いによる脳活動の違いをあまり示さなかった。注意の転導については、健常者に比べ前頭葉を含め、強い賦活をみとめた。 これらの結果から、統合失調症の注意機能の異常が見出され、課題に応じた注意の分配機能に異常がみられ、その結果注意の切り替えには健常者に比べ強い脳賦活を必要としている可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)