2007 Fiscal Year Annual Research Report
人工心筋組織移植による心筋梗塞治療:移植に最適な人工心筋組織の新たな開発
Project/Area Number |
19790978
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
内藤 洋 Nara Medical University, 医学部, 助教 (00316069)
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Keywords | 再生医療 / 組織工学 / 人工心筋組織 |
Research Abstract |
成熟ラットの心臓と同程度の大きさの球状の人工心筋組織を作成することを目標とした。本来,外側の鋳型としてアガロースで直径20mmの球状の空間を作り,その空間に直径10mmのガラスで出来た球を固定することにより作成する予定であった。しかし,手技をより簡略にする為,外側の鋳型をポリプロピレン製のコニカルチューブで代用した。生後2-3日目の新生児ラットの心臓からトリプシンを用い心筋細胞を単離した。単離した心筋細胞をコラーゲンと混合し心筋細胞混合物を作成,鋳型に注入した。37℃のインキュベートで混合物がゲル化した後,培地を追加し培養を開始した。混合物は徐々にガラス球の周りに凝集し,2週間程度の培養で球状の人工心筋組織が形成された。また,鋳型から外すと肉眼でも自己拍動が確認出来,予定より簡略化した方法で球状の人工心筋組織を作成することが出来た。 組織の評価法としては組織の収縮力を測定する予定であった。予備実験で作成した球状の人工心筋組織は脆弱であるため,等尺性収縮試験施行時にしばしば組織が破損した。収縮試験時に使用するフックに固定可能な強度をもつ組織であれば移植することにおいても問題が無いと考えられるため,収縮試験が施行可能な強度を今回作成する人工心筋組織の強度の目標として組織を作成した。収縮試験としては,Tyrode液中で初期長を変えて収縮力を測定し最適な長さを決定した後,等尺性収縮力測定を行った。外液中のカルシウム濃度を変化させた時の収縮力,収縮速度,弛緩速度を測定しようとしたが,カルシウムに対する反応性を確認することが出来なかった。同様の問題点が通常の形状をした人工心筋組織でも見られているため,原因の検索を開始している。
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