2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工心筋組織移植による心筋梗塞治療:移植に最適な人工心筋組織の新たな開発
Project/Area Number |
19790978
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
内藤 洋 Nara Medical University, 医学部, 助教 (00316069)
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Keywords | 再生医療 / 組織工学 / 人工心筋組織 |
Research Abstract |
(研究の目的)前年度は成ラットの心臓と同程度の大きさで球状の人工心筋組織の作成を目標に検討を行った。ポリプロピレン製のコニカルチューブとガラス玉を用いて球状の鋳型を作成し、その鋳型に新生児ラットの心臓から単離した心筋細胞とコラーゲンの混合物を注入することによって球状の人工心筋組織を作成した。最終的な目的が機能的に収縮力を発生する球状の心筋組織を心筋梗塞後ラットの心臓に移植することによる心機能の改善効果である為、球状の心筋組織が十分な収縮力を発生し、機能的に収縮することを確認する必要があった。 (研究の成果)安定した収縮力の測定には、測定時に使用するフックに固定可能な強度をもつ組織の作成が必要であるため、収縮力測定試験が安定して施行可能な強度を持った人工心筋組織を作成することを本年度の目標とした。使用する細胞数の増加、また、コラーゲン濃度の上昇によって組織の強度は上昇し、何度か収縮力測定試験が施行できた。しかし、安定して収縮力測定試験が可能な組織作成の条件決定には至っていない。また、収縮力測定試験としては、初期長を変えて収縮力を測定し最適な長さを決定した後、等尺性収縮力測定を行った。収縮力の大きさ、外液中のカルシウム濃度を変化させた時の収縮力、収縮速度、弛緩速度の変化などを測定したが、カルシウムに対する反応性を確認することが出来ず、また、これまで報告されてきた収縮力より小さな収縮力しか確認する事が出来なかった。現在、原因の検索、培養条件の変更による改善を目的に検討を継続している。 (意義、重要性)今回の検討では、比較的簡便な方法で球状の拍動する人工心筋組織を作成する方法を示す事ができた。今後、組織の脆弱さの改善、機能的な問題点の改善を得る事によっては、心筋梗塞後の心臓への移植に用いるための新たな人工心筋組織開発の可能性が示せたと考えている。
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