2007 Fiscal Year Annual Research Report
塩酸イリノテカン代謝酵素UGT1A1の遺伝子多型と同薬剤の副作用発現との関連
Project/Area Number |
19791148
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
出口 雅士 Kobe University, 医学部・附属病院, 助教 (50403291)
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Keywords | 婦人科癌 / 塩酸イリノテカン / UGT1A1 / 遺伝子多型 / 抗癌剤治療 / 副作用 |
Research Abstract |
これまでに自身の採血検体を利用してDNAの抽出と定量、UGT1A1 *6,*28,*60遺伝子多型解析を行う手技を確立した。近年特にUGT1A1 *6, *28の遺伝子多型と塩酸イリノテカンの副作用について特に注目されつつあり、解析する遺伝子多型を*6,*28,*60に絞り込んで研究を行うことにした。 現在は患者採血検体収集〜DNAの抽出と定量を行っており、当院で婦人科癌に対する抗癌剤治療として塩酸イリノテカンの投与を受け外来通院中の患者より同意を得て末梢静脈からEDTA採血10mlを施行し、wizard Genomic DNA purification Kit (Promega A1620)を用いて末梢血中の白血球よりDNA抽出し、DyNAQuant200 (Hoefer, Pharmacia Biotech)を用いてDNAを定量、定量後のDNA溶液の一部を-20℃で保存、残りを-80℃で保存している。収集された検体より、1例の重篤な副作用を呈した患者の検体を含む10検体を抽出して試験的にUGT1A1 *6,*28,*60各々に特異的なプライマーを用いてPCRを行いシーケンサーにて塩基配列を確認してUGT1A1遺伝子解析を行った。重篤な副作用を呈した患者でのみUGT1A1 *6,*28の双方において変異遺伝子を認め、消化器癌同様に婦人科癌においてもUGT1A1 *6,*28遺伝子多型が塩酸イリノテカンの副作用の発現において重要な因子であろうことが再確認された。UGT1A1 *60の遺伝子多型と副作用については試験的解析では明らかな傾向は判断できなかった。以上の試験的解析結果より、UGT1A1 *6,*28遺伝子多型と塩酸イリノテカンの副作用の相関については引き続き多数の患者群での遺伝子解析を行い、重篤な副作用との相関を検討することで、重篤な副作用発現の予測に必要な基礎的情報が得られると考えている。
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