2008 Fiscal Year Annual Research Report
モデル動物を用いた緑内障に対するアルツハイマー病治療薬による神経保護治療の開発
Project/Area Number |
19791265
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三木 篤也 Osaka University, 医学部・附属病院, 医員 (30437404)
|
Keywords | 眼科学 / 緑内障 / 神経保護 / 神経保護 / モデルマウス / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
前年度の結果から、我々の導入したDBA/2Jマウスは既報と異なり、眼圧上昇を示さなかった。そこで、より高い年齢のマウスの眼圧測定及び前眼部観察を行った(すべてメス)。64週では9.1+/-2.3mmHg(n=9), 75週では8.5+/-1.8mmHg(n=12)であり、22mmHg以上の高眼圧を呈した動物はなかった。一方、既報で見られる虹彩色素脱失および虹彩萎縮は全動物に、瞳孔異常は19眼(90.5%)に見られた。また眼球癆による眼圧測定不能は64週の1眼に見られた。この結果から、我々の導入したDBA/2Jマウスでは、既報に見られる虹彩の異常は例外なく発症しているが、既報と異なり、それに伴う眼圧上昇が生じないことがわかった。また、9週齢オスマウスでの検討では、検討した10眼のうち21mmHg以上の高眼圧を呈したものが1眼あり、48mmHgの著明な高値を示していたが、眼圧上昇の時点では虹彩の異常は伴っていなかった。また、4匹の動物に塩酸ドネペジル(25mg/ml)を徐放するための浸透圧ミニポンプを背部皮下に埋植したが、埋植後3週間の間に2匹は死亡し、1匹はポンプの脱落を生じて以後の観察不能となった。投与量は、以前のラットでの検討で投与した量より少ない量であったので(体重換算)、埋植に伴う問題と考えられる。神経保護治療の効果確認のためには、同等の視神経負荷をかけた動物間で治療の有無による神経細胞生存率の相違を比較する必要があり、DBA/2Jマウスは眼圧値の個体差が大きく、眼圧上昇が見られる個体数が少なく、眼圧上昇を来たす個体を所見上区別することが出来ない点で、適していない。より確実、定量的な眼圧上昇を見込むことが出来るモデルの確立が必要である。
|