2007 Fiscal Year Annual Research Report
齲蝕病原性細菌の母子感染とバイオフィルムの関係に関する研究
Project/Area Number |
19791566
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
茂木 瑞穂 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60422474)
|
Keywords | Streptococcus mutans / 齲蝕 / 細菌 / 母子感染 / バイオフィルム |
Research Abstract |
口腔バイオフィルムの主体であり、う蝕の主な原因菌であるStreptococcus mutansは、乳幼児期に母親などの養育者から子へ伝播する。我々のこれまでの研究で174組の母子(3歳児)から分離したS. mutansをPFGE法を用いて母子間の一致率を調べるとともに、ゲノムDNAが異なる17種類を同定することができた。このうち、バイオフィルム形成能が最も高い株と低い株についてFlow cell systemを用いてバイオフィルムを形成させ、共焦点レーザー顕微鏡にて観察し、画像評価を行った。さらにDNAマイクロアレイを用いて、バイオフィルム形成時の発現に差のある遺伝子を明らかにした。 今年度では、アレイにより明らかとなった74のバイオフィルム関連遺伝子の中で、CSPによるQSシステムの制御を受けていた45遺伝子に焦点を当て、バイオフィルム形成能が異なる17種類のS. mutans臨床分離株において、これら遺伝子がどのように存在し、分布しているのかをPCR法を用いて検討した。 その結果、母と子でPFGEパターンが一致しなかった子から分離されたS. mutans6株は約81.1%の確率でQSシステム関連遺伝子を保有していた。一致しなかった母のS. mutansは約66.7%、母子一致したS. mutansは約66.2%と、一致しなかった子よりも低い傾向がみられた。これは、母以外の者から子へS. mutansが伝播する際に本菌のQSシステムが関与している可能性を示唆している。特に、SMU832,833,1909,1912,1506については、一致しない子供のS. mutansからは100%に近い値で検出されているのに対して、他のS. mutansでは60%以下であった。このことから、これら遺伝子は、子が母親以外の者からS. mutansを獲得する際の何らかの指標となる可能性が示唆された。
|
Research Products
(3 results)