2008 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける社会革命と社会的結合の変化・持続:カンボジア農村を中心として
Project/Area Number |
19810010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 知 Kyoto University, 東南アジア研究所, 助教 (20452287)
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Keywords | 社会的結合 / カンボジア / 社会変化 / 上座仏教 / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究は、社会的結合の変化と持続という観点から、東南アジア大陸部を中心としたアジア地域に固有の社会統合の原理を探った。拠点は、1975〜79年の民主カンプチア政権(ポル・ポト政権)期に国家主導で極端な形の全体主義的支配を経験したカンボジア農村においた。本研究は、また、カンボジアおよび隣接諸国の研究機関を訪問し、文献収集をおこなうと共に、将来につながる研究者のネットワークをつくることも目的とした。 現地調査と文献収集では、対象とした東南アジア大陸部地域における、上座仏教文化圏という特徴に着目し、なかでも特に、人々の社会的交流の中心である仏教寺院に考察の焦点を絞り込んだ。また、国境域における人々の生活のなかのネットワークにも着目した。具体的には、カンボジア国内の寺院を訪問し、寺院の歴史と出家行動の変容について聞き取りを重ねるとともに、昨年度のベトナム領メコンデルタの上座仏教寺院訪問につづき、タイのスリン県のカンボジア系の寺院を訪ねた。また、カンボジアでは、プノンペン大学人文社会学部社会学科の教官・学生諸氏と短期の共同調査を行った。 以上の活動からは、資料の収集とともに、カンボジアを中心とした研究ネットワークの構築の礎をつくることができた。他方、社会的結合の変化と持続という課題を、国民国家という権力と、国境域の人々の越境の社会史といったより具体的な構図のもとで突き詰めてゆく将来の研究の構想を具体化することもできた。
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Research Products
(3 results)