2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19830024
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
荒川 歩 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 特任講師 (90452185)
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Keywords | 裁判員裁判 / しろうと理論 |
Research Abstract |
本研究は、裁判員としての市民の「しろうと理論」、特に、殺意の認定と「疑わしきは被告人の利益に」の理解を分析することが目的である。 これらの目的にあわせて市民の「しろうと理論」を収集するためのツールとして、裁判員裁判ゲームを開発した。さらに、この裁判員裁判ゲームの殺意の認定と「疑わしきは被告人の利益に」の解釈に焦点をあてたバージョンを開発し、3・4人ずつ、4つのチームに対して、2時間ずつ模擬評議を実施し、殺意の認定の基準やその思考プロセスについてのやりとりをビデオ・音声収録した。同時に、それぞれの発言者に対する評価も収集した。 調査に用いた事案は、法学部4回生4名に事前に検討してもらい、殺意の認定が半々に分かれる事案であったが、非法学部生に実施した本調査では、全評議体で、殺意は認定されなかった。これらのデータを分析することにより、裁判員が、どのような思考プロセスで、どのような「しろうと理論」を適用して、殺意を認定するのかが明らかになる。これは、学術的には、社会的に認知における推論のプロセスを明らかにする上で有用であり、また、社会的には、実際の裁判員裁判において裁判員の効果的な教示、および弁護人・検察官双方の効果的なプレゼンテーションを考える上で有用な資料になると考えられる。 作業は、現在、テープ起こし作業を完了し、分析段階に入っている。この成果は、2008年にドイツで行われるICP(国際心理学会)で報告される予定である。
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Research Products
(4 results)