2007 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害のある大学生等への支援モデル構築に関する比較教育学的研究
Project/Area Number |
19830051
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
片岡 美華 Kagoshima University, 教育学部, 講師 (60452926)
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Keywords | 発達障害 / 高等教育機関 / 支援モデル / 比較教育学的研究 / 実態調査 / 特別支援教育 / 学生支援 / LD(学習障害) |
Research Abstract |
本年度は、当該研究の初年度にあたり、支援モデルを構築するための情報収集と予備的検討に重点を置いた。研究成果としては以下の2点に集約できる。第一に、短期大学や大学に在籍する学生が、学業面と生活面においてどのようなニーズを抱えているかを、調査票を用いて明らかにした。単純集計による予備的検討によると、調査した大学等には、発達障害の疑いのある学生が在籍しており、学習面と卒業後も含めた生活面での支援を必要としていること等が明らかになった。大学生に対する実態調査が多くない中、数大学から資料を得られたことは意義があるものと考える。また、この調査は、義務教育修了後の継続的な支援について、当事者の視点から、経験している困難さと求めている支援について把握することを可能にした。これは、ニーズに合った支援モデルを構築する上で重要である。 第二に、欧米で先進的に取り組まれている支援モデルに関する情報収集を行った。具体的には、アイルランドのトリニティ大学で行われている継続教育に関して、関係スタッフからの聞き取りを行い、障害のある学生を支援する上で必要なプログラム内容と支援体制について示唆を得た。さらに、LDやADHDの学生のための大学として知られるアメリカのランドマーク大学から研究者を招聘し、数回に及ぶセミナーを開催した。これにより、発達障害のある大学生の心理や特性とそれへの支援について、また、高等学校からの移行教育という視点からも具体的な知見を得ることができた。なお、本セミナーは、当該研究者だけでなく、学生や教員、保護者にも参加を呼びかけたことにより、研修と啓発の機会を提供できたことも大変意義深い。上記の二点を踏まえて、次年度には必要な支援内容を明らかにしたうえで、モデルとして構築させる予定である。
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Research Products
(4 results)