2007 Fiscal Year Annual Research Report
マス・コミの世論調査報道と政治との共振関係に関する研究
Project/Area Number |
19830067
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中瀬 剛丸 Nihon University, 文理学部, 教授 (30453864)
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Keywords | 世論 / 内閣支持 / 政治参加 / 政治社会学 / マスメディア |
Research Abstract |
今年度はまず、数値で表現される世論調査結果と民主主義の基盤としての「世論」との違いを理論的に整理するとともに、現在、新聞社や放送局が報道している世論調査の方法や頻度、それに報道の量など現状の把握に取り組んだ。具体的には、安部前首相の突然の退陣表明とその後の福田内閣の発足という政局の大きな動きを受けて新聞各紙が実施した世論調査の結果の報道を収集して、比較分析した。その結果、RDD法という調査方法と調査時期が同一であるにもかかわらず、報道の核心である内閣支持率に標本誤差を超える差があることを見出した。実施主体の違いやワーディングの違いによる可能性があるが、一般に科学的と受け止められている調査の"科学性"に疑問を投げかける状態であると言える。この問題に関しては20年4月22日に日本新聞協会のマス・コミ倫理懇談会で講演を行うことになっている。 また、民主主義の骨格としての世論の政治を量的なデータとしての世論調査結果を使って考察するため、NHK放送文化研究所が実施している「日本人の意識」調査の30年のデータの蓄積を活用し、選挙の投票率の低下が問題視されている若者の政治意識の分析を行った。その結果、精神的な面での生活満足度や家庭や男女のあり方と関連する政治参加が従来の政党や団体などの動員による政治参加の後退を補っていることを示唆する結果が得られた。この分析結果については「日常生活と政治とのあらたな接点-若者の意識にみる政治参加の変容」という論文にまとまた。
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