2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19830072
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
野口 雅弘 Gifu University, 教育学部, 准教授 (50453973)
|
Keywords | 新しい公共 / 協働 / 官僚制 / ウェーバー / 儒教と道教 / トクヴィル / オッフェ |
Research Abstract |
官僚制をめぐる議論状況は、近年大きく変化している。新自由主義的な方向性において「小さな政府」が唱えられ、またそれと呼応するかたちで、住民やNPO、ボランティアを積極的に「動員」しようとする議論がなされている(「新しい公共」論)。本研究は、政治思想の理論蓄積を手がかりにし、それらを再構成しながら、こうした動向を批判的に分析しようとする試みである。こうした研究の概要については、「『小さな政府』と<協働>の時代における官僚制をマックス・ウェーバーから考える」と題して早稲田大学政治経済学術院ファカルティワークショップで報告した。 個別の論点としては、とくに以下の三点に取り組んだ。 1. 昨年度に引き続き、ウェーバーの『儒教と道教』に集中的に取り組み、脱政治化をキーワードにしながら、統治の合理性と<協働>の接合のあり方を検討した。 2. 官僚制とアソシエーションの関係性をめぐっては、たんなる二律背反ではなく、さまざまな結びつき方の可能性がある。本年度、翻訳したクラウス・オッフェ『アメリカの省察--トクヴィル・ウェーバー・アドルノ』法政大学出版局は、まさにこうした論点をひとつの主要テーマとする研究であり、本書の翻訳をするなかで自分なりに論点を整理することができた。 3. ウェーバーの大学論は官僚制化という視座からする比較研究という側面をもつ。こうした比較研究の意義に注目しながら、「比較と責任--マックス・ウェーバーの学問論」(西山雄二、宮崎裕助編『哲学と大学--近代の哲学的大学論の系譜学と人文知の未来』未来社)を執筆した。
|