2007 Fiscal Year Annual Research Report
ソ連・ロシアにおける制度設計-マクロ政治制度の選択と継続に関する一考察-
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19830073
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
津田 憂子 Waseda University, 政治経済学術院, 助手 (20453970)
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Keywords | 比較政治 / 政治過程論 / ヨーロッパ |
Research Abstract |
平成19年度における本研究実施計画は、(1)実証的研究の立場からソ連崩壊後のロシアにおける制度設計を考察し、その研究成果を踏まえたうえで、(1)理論的研究の立場から制度設計に関する比較政治学の既存理論とロシアにおける理論研究を合わせた体系的な理論構築を行うことを目的としていた。 目的(1)については、「大統領制と議院内閣制をめぐる議論の変遷-ロシアにおける政治制度変更の可能性」と「ロシア『市民社会』の現代的位相」の両論文を研究成果としてあげることができる。前者においては、ロシア大統領制の普遍性と独自性の双方を明確に把握するために、比較の視座の中に同国の政治制度をどのように一般化することができるのかという点を検討した。本論文では、ロシア憲法の草案内容をめぐって活発な議論が展開された1990年代前半の時期には多様な制度構築の可能性が開かれていたことを指摘し、議院内閣制国家へと制度変更が行われなかった政治的背景を考察した。他方、後者においては、ロシア大統領制の継続に関する構造的要因を探るひとつの手がかりとして「市民社会」の存在に着目した。現代ロシアにおける「市民社会」の不活発さの原因を歴史的変遷をたどって探り出し、ソ連・ロシアに特有な国家社会関係が制度の継続にも影響を及ぼす点を示唆した。 目的(2)は、論文「新興民主主義国における政治制度の構築-ロシアにおける大統領制導入をめぐって」によって部分的に達成された。本論文ではおもに、比較政治学の土壌のなかにロシア地域研究を取り込み、理論と実証という2つの視座から分析を行った。理論的考察の部分においては、制度設計に関する比較政治の既存理論にロシアにおける理論研究を統合し、制度設計に関する理論が同国においてどのように消化・吸収されているのかを分析した。また、ロシア憲法の制定過程を実証的に分析したという点では目的(1)の一部も達成している。
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Research Products
(3 results)