2008 Fiscal Year Annual Research Report
主観的ウェルビーイングによる心理生物学的ストレス反応低減効果の実証的研究
Project/Area Number |
19830115
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare、Junior College |
Principal Investigator |
田中 芳幸 Tokyo University of Social Welfare、Junior College, こども学科, 講師 (50455010)
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Keywords | 主観的ウェルビーイング / 心理生物学的ストレス反応 / 急性ストレッサー / メンタルヘルスの二次元モデル / いきいき度尺度(PLS-R) / 実験 |
Research Abstract |
分析対象者:研究参加の意思を示した男子学生92名から、主観的ウェルビーイング(SWB)の高い者8名(22.0±4.2歳)と低い者9名(20.2±1.3歳)を抽出した。 測定内容:(1)改訂-いきいき度尺度(PLS-R)によりSWBを、(2)日本語版UWIST気分チェックリストと日本語版POMS短縮版により主観的ストレス反応を測定した。(3)心臓血管系反応として、血圧と脈拍を測定した。 メンタルストレステスト(課題):パソコン上にて(1)Ravensマトリックス課題と(2)鏡映描写課題を行った。 実験参加者選出方法:PLS-R回答者から、研究者の性別に関わる倫理的配慮により男性を選択した。さらに、PLS-R基準値で高SWB群と低SWB群に当たる者を選出した。 研究成果と意義:心臓血管系反応に統計的有意差は認められなかったが、各人のデータを見ると、高SWB者の最高血圧が課題負荷中に徐々に上昇し、負荷終了後3分の時点では安静時と同等以下に復元するという傾向であった。これに対して、低SWB者の最高血圧は、課題負荷中および前後で一定の傾向がなく、高SWBの者より狭い振幅で昇降を繰り返していた。主観的ストレス反応でも、課題前の値の差が大きいこともあって交互作用を認めるには至らなかったが、高SWB者にて2つの課題間での反応程度とその前後の反応程度に差のある傾向にあった。これらのことより、個人のSWBが急性ストレッサーに対処する為の準備状態を整えたり、反応後の回復を促進したりといった役割を有すると考えられる。データの蓄積量を増やすことにより、本研究結果をより明らかなものとして検証する必要がある。前年度の調査研究で示したSWBのストレス干渉モデルを実験室場面で確認し、ポジティブ側面を増加させることによってストレス低減を目指すという新たな視点が妥当である可能性を提示できたことが意義である。
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Research Products
(16 results)