2008 Fiscal Year Annual Research Report
地球の核圧力条件下での鉄-軽元素系の融点の決定と温度構造モデルの構築
Project/Area Number |
19840007
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
境 毅 Tohoku University, 国際高等研究教育機構, 助教 (90451616)
|
Keywords | 高温高圧 / 地球中心核 / 結晶構造 |
Research Abstract |
地球中心部の温度構造モデルの構築のために重要な(1)マントルおよび(2)核に関する研究結果を以下にまとめる。 (1) マントル鉱物の化学組成は熱伝導度といった物性値に関係するため重要である。下部マントルの主要構成物質であるペロブスカイト(Pv)相およびマントル最深部に存在するポストペロブスカイト(PPv)相とフェロペリクレース(Fp)相の間の鉄-マグネシウム元素分配関係について研究を行った。Pv-Fp間では圧力が上昇するとともに、Fp相中の鉄に見られるスピン転移の進行に対応して鉄がFp相により分配されることが分かった(Sakai et.al., 2009 In press)。またPPv-Fp間のFe-Mg分配関係はPv-Fp間の場合よりも系全体の鉄の量に対して大きな組成依存性を持つことを明らかにした(Sakai et.al., 2009 under revision)。 (2) 地球中心での温度は地球の核を構成する鉄-軽元素系合金の高圧力下での融点で決定される。鉄-軽元素系合金の融点の圧力依存性は、融点以下の温度での結晶構造によって変化するため、超高圧条件下における鉄-軽元素系合金の結晶構造の決定は重要である。本研究ではFe-S系において高圧下でのみ存在するFe_3S相にさらにNiを加えた、(Fe, Ni)_3S相の安定性について264GPa, 1940Kまで調べた。大型放射光施設SPring-8のBL10XUにおける高温高圧その場粉末X線回折実験により、64GPaにおいて完全なメルト状態にある試料からのX線回折線の取得に成功した。また200GPa, 2550Kで融解の兆候が見られ、264GPa, 1940Kでは固相状態であることが分かった。(Sakai et.al., 2009 In preparation)。
|
Research Products
(3 results)
-
[Journal Article] Fe-Mg partitioning between perovskite and ferropericlas e at the lower mantle2009
Author(s)
Sakai, T., Ohtani, E., T erasaki, H., Sawada, N., Kobayashi, Y., Miyahara, M., Nishijima, M., Hir ao, N., Ohishi, Y., Kike gawa, T.
-
Journal Title
American Mineralogist (In press)
Peer Reviewed
-
[Presentation] Phase stability of (Fe, Ni)_3S at the core pressure conditions2008
Author(s)
Sakai, T., Kamada, S., Teras aki, H., Ohtani, E., Hirao, N., Asanuma, H., Sata, N., Ohishi, Y.
Organizer
American Geophysical Union (AGU) Fall meeting
Place of Presentation
Moscone Convention Center, San Francisco, Cali fornia, USA
Year and Date
20081215-19
-
[Presentation] マルチメガバール領域での(Fe,Ni)_3S構造安定性2008
Author(s)
境毅, 鎌田誠司, 大谷栄治, 寺崎英紀, 宮原正明, 西嶋雅彦, 平尾直久, 佐多永吉, 大石泰生
Organizer
第49回高圧討論会
Place of Presentation
姫路市, 姫路商工会議所
Year and Date
20081112-14