2007 Fiscal Year Annual Research Report
超重核弁別用の高性能固体飛跡検出器の開発と核反応断面積の高精度測定
Project/Area Number |
19840046
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小平 聡 Waseda University, 理工学術院, 助手 (00434324)
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Keywords | 宇宙線 / 加速器 / 粒子測定技術 / 核物理 |
Research Abstract |
重イオンの標的物質との核変換断面積を測定するためには、優れた粒子識別能力が要求される。現状では、CR-39固体飛跡検出器は非常に優れた粒子識別能力を有するが、入射粒子が超重核あるいは低エネルギーになると信号が飽和してしまい粒子識別が困難となる欠点があった。そこで本年度は、検出電荷閾値を上昇させるべくCR-39にDAP樹脂を共重合させた新素材の開発及びBP-1ガラスの組成の最適化を行い、各々の重イオンに対する応答関数を詳しく調べた。 均一性・粒子識別能力が共に優れているCR-39(BARYOTRAK)を基材に、DAP樹脂を一定間隔割合で重合させた検出器を製作した。HIMAC重イオン加速器を用いて様々な重イオンビーム(Si~Xe)を照射した。照射後に7規定のNaOH溶液及びPEW-65溶液(15wt%KOH+20wt%H2O+65wt%C2H5OH)を用いエッチング処理を行った。NaOH溶液でエッチングした結果、DAP樹脂の重合比率の上昇と共に応答関数を系統的に高電荷側にシフトさせることが出来た。更にPEW-65溶液を用いることによって、表面状態を大幅に改善したうえに検出電荷閾値を60まで上昇させることに成功した。 BP-1ガラスについても同様に重イオンビーム照射を行い,固体飛跡検出器としての性能を確認した。更に一様性を高めたBP-1ガラスの製法について,オハラ(株)と議論しながら進めており,BP-1を超える感度を有する超高感度ガラスについても検討を始めている。 CR-39を用いた核変換断面積の測定に着手した。まず、0.3~1GeV/uに加速された鉄イオンと水素との核変換断面積の測定実験を行った。全断面積は従来の結果と誤差範囲内で一致した。これまでデータのなかった0.3Gev/u以下の断面積測定を行い、断面積のエネルギー依存性を確認した。現在、測定法に伴う系統誤差を評価している。
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Research Products
(11 results)