2008 Fiscal Year Annual Research Report
超重核弁別用の高性能固体飛跡検出器の開発と核反応断面積の高精度測定
Project/Area Number |
19840046
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
小平 聡 National Institute of Radiological Sciences, 基盤技術センター, 博士研究員所 (00434324)
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Keywords | 超重核 / 核反応断面積 / CR-39 / 固体飛跡検出器 / 宇宙線 / PEW / 断層撮像 / PHITS |
Research Abstract |
本研究では、(1)高性能固体飛跡検出器の開発、(2)高精度深さ顕微鏡系の開発、そして(3)核反応断面積の精密測定の予備実験を行った。 (1)高性能固体飛跡検出器の開発:電荷検出闇値がZ/β>30〜40程度で且つ電荷分解能が0.2cu程度を有する必要がある。CR-39にDAP樹脂を共重合させた新素材の開発及びBP-1ガラスの開発を進め、検出閾値としてCR-39+DAPがZ/β〜30、BP-1がZ/β〜50を達成した。また、KOH溶液にエタノールを混合したエッチング溶液(PEW)を新たに適用したことにより、CR-39の検出閾値はZ/β〜40程度で且つKrに対する電荷分解能0.21cuを達成した。優れた粒子識別能力を持つ検出器及び新しいエッチング技術の開発に成功した。 (2)高精度深さ顕微鏡系の開発:エッチピットの深さ方向への断層画像を撮像し、画像処理によってエッチピット深さを自動測定する顕微鏡系の開発を行った。Feの低エネルギー領域の隣り合う電荷を十分に弁別できていなかった従来のエッチピット開口部測定に対して、深さ測定では各電荷を明確に弁別できることを確認した。技術的に困難であったエッチピットの深さ測定を自動化したことにより統計精度も飛躍的に向上した。 (3)核反応断面積の精密測定の予備実験:0.3〜1GeV/uのFeと水素との核変換断面積の測定実験を行い、全断面積は従来の結果と誤差範囲内で一致した。またPEWを用いたKrと水素との断面積の測定テストを行い、従来の結果は存在しないが、PHITSコードによる全断面積の結果とは矛盾しないことを確認した。 以上のように研究計画は順調に進み、その結果として本研究の目的は十分に達成された。
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Research Products
(9 results)