2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウランの回収を目的とした電池型バイオリアクターの開発
Project/Area Number |
19860091
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
鈴木 義規 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (20455281)
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Keywords | バイオリアクター / ウラン / 電気化学 / 酸化還元 / 修飾電極 |
Research Abstract |
ウランの回収を目的とした電池型バイオリアクターにおいて,電極からウランやの電子移動効率はリアクターの性能を決める重要な因子である.昨年度の研究では,U(VI)が安定な有機酸錯体を形成すると,電極からU(VI)への電子移動が遅くなることがわかった.そこで本年度は,微生物の有する電子伝達物質のうち,flavin mononucleotide(FMN)およびcytochrome c3(cyt.c3)を触媒として用い,電極からU(VI)-クエン酸錯体の電子移動速度の向上を試みた. けじめに,cyt.c3およびFMNを加えない条件で,U(VI)-クエン酸錯体のサイクリックボルタモグラム(CV)を測定したところ,0.0V(vs.Ag/AgCl)から-0.45Vの間で明確なU(VI)の還元ピークは観測されなかった.同領域でFMNのCVを測定したところ,-0.35V付近に一対の酸化還元ピークが観測された.この溶液にU(VI)-クエン酸溶液を加えると,還元ピークが増加し,酸化ピークが減少した.これらのことは,電極で還元されたFMNによりU(VI)-クエン酸錯体が還元されたこと,すなわち,U(VI)-クエン酸錯体の電気化学的還元においてFMNが触媒として働くことを示している.光透過性薄層電極を用いて,電解還元されたUの紫外可視吸収スペクトルを測定したところ,U(IV)に起因する吸収帯が観測された.透析膜を用いて,電極近傍にcyt.c3を保持した電極でも,同様の触媒反応が観測された. 以上の結果から,FMNおよびcyt.c3を用いることで,電極からU(VI)-有機酸錯体への電子移動効率を向上できることが明らかになった.
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Research Products
(4 results)