2008 Fiscal Year Annual Research Report
指の個性の決定における新しいシグナリングセンターPFRの機能解析
Project/Area Number |
19870001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 孝幸 Tohoku University, 加齢医学研究所, 助教 (40451629)
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Keywords | 指の個性 / 骨 / BMP / PFR / 指間部 / ニワトリ / 分子生物学 / 発生生物学 |
Research Abstract |
ふと日常何気なく使っている手を見てみると、とてもおもしろい形をしていることに気付く。ヒトは手足に5本の指をもっており、それぞれの指は前後軸上に沿って異なる形態をしている。親指は他の指と比べて指骨の数が少なく短い。また小指は中央の3本の指に比べて小さい。それではこのようなそれぞれの指のかたち作りの違いはどのような分子メカニズムによって決まっているのであろうか? 今回アメリカWisconsin大との研究により、親指から小指にかけての指のかたちの違いは、胎児期において指の発生中に指先の細胞群が受け取るBMP(骨形成成長因子)の量の違いによって生み出される事が分かった。外科的に直接PFRでのBMPシグナルを変化させると指の個性が変化する事から、PFRにおけるSMAD1/5/8の活性化レベルの違いがそれぞれの指の個性の違いを生み出しているメカニズムである事が判明した。一方、発生期における指の形態形成のメカニズムが少しずつ明らかになって来たことから、多指症や短指症などのヒト先天性指疾患の分子メカニズムが明らかになる事が期待される。新生児における指の先天性異常は心臓に次いで2番目に多いのが現状である。これまでの本研究者の研究から指形成期においてはPFRにおけるBMPシグナルの活性化が重要であるという事が判明したため、今後は指の疾患に関わる遺伝子がPFRにおけるBMPシグナリングの活性化にどのように関わって行くかを調べて行きたい。このことでヒト先天性指疾患の分子レベルでの発祥メカニズムが明らかになると考えられる。またそれぞれの指に特異的に発現する遺伝子の探索も進行中である。 指形成に重要な細胞群が見つかった事で、今後の指の再生研究への応用も期待される。
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