2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19870034
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
内村 誠一 The Institute of Physical and Chemical Research, 武藤研究ユニット, 研究員 (80455328)
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Keywords | 生物物理 / 分子モーター / キネシン / 微小管 |
Research Abstract |
本研究では、出芽酵母発現系を用いてチューブリン変異解析を行うことにより、微小管上のキネシン相互作用部位を同定し、その相互作用とキネシンの運動特性との関係を理解することを目的としている。キネシンは、ATPの加水分解に伴って微小管との弱/強結合状態を交互に繰り返しながら運動しているが、それぞれの結合状態における微小管上の相互作用部位は同定されておらず、また、それぞれの結合状態がキネシンの運動の中でどのような役割を果たしているかは推測の域を脱していない。本年度はまず、キネシンとの相互作用に重要なアミノ酸を同定するため、微小管表面に存在する荷電アミノ酸にアラニン変異を導入し、その効果を解析した。これらのアラニン変異チューブリンを酵母細胞内で単独発現させたところ、8種類の変異株は致死となり、4種類の変異株は生育の遅延を示した。この結果は、これらのアミノ酸が微小管機能に重要であることを示している。そこで、これらの変異に着目し、微小管を精製後、双頭キネシンの1分子運動解析を行った。その結果、α-チューブリン・ヘリックス11-12ループに存在する3つの荷電アミノ酸、およびα-チューブリン・ヘリックス12に存在する荷電アミノ酸の置換変異体ではキネシンの運動性が顕著に低下した。次に、この運動性の低下がキネシンATPaseサイクルのどの状態の変化に由来するものかを調べるため、加水分解されないATP類似体、AMP-PNP存在下(強結合状態)とADP存在下(弱結合状態)でのキネシン破断力を測定した。その結果、これらの変異微小管では両状態における破断力が減少しており、結合が不安定になっていることが明らかになった。
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