2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19870034
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
内村 誠一 The Institute of Physical and Chemical Research, 分子動態解析技術開発チーム, 研究員 (80455328)
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Keywords | 生物物理 / 分子モーター / キネシン / 微小管 |
Research Abstract |
本研究では、出芽酵母発現系を用いてチューブリン変異解析を行うことにより、微小管上のキネシン相互作用部位を同定し、その相互作用とキネシンの運動特性との関係を理解することを目的としている。微小管はキネシンのADP解離速度を促進し、結果としてキネシンのATPase加水分解活性を数百〜数千倍にまで増加させることが知られている(Microtubule-activated ATPase)。この事実は、キネシン-微小管相互作用の情報がキネシンのATP加水分解サイトへと伝達されていることを示しており、その構造的基盤を理解することはキネシンの運動メカニズムを理解する上で重要であると考えられる。 本年度は、昨年度に同定した微小管上のキネシン相互作用部位6アミノ酸の変異が、キネシンのATPase酵素活性にどのように影響しているかを調べることにした。しかし、これまでの発現・精製方法では精製できる微小管が微量で酵素活性測定が困難であったため、まずは精製方法の検討を行った。その結果、従来の方法よりも数十倍の精製微小管を得ることが可能となった。そこで、この方法を用いて変異微小管を精製後、Microtubule-activated ATPaseがどのように変化しているかを測定した。その結果、これらの変異微小管では野生型に比べて最大酵素反応速度が20〜50%にまで減少していることが明らかになった。この結果は、これらのアミノ酸とキネシンとの相互作用が、ATP加水分解サイトへの情報伝達における最初のスイッチとなっている可能性を示唆している。
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