2008 Fiscal Year Annual Research Report
小型鯨類のストレスに関連した行動・鳴音に関する研究
Project/Area Number |
19880031
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
篠原 正典 Teikyo University of Science & Technology, 生命環境学部, 講師 (60454253)
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Keywords | 小型鯨類 / 行動 / 鳴音 / 飼育 / ストレス |
Research Abstract |
本研究課題は、小型鯨類における長期ストレスをストレス関連ホルモンから定量的に評価すると同時に、行動・鳴音の詳細な解析を行い、ストレスと相関の高い行動指標・鳴音指標を見いだすことを目的とした。 研究代表者は、課題の採択直後より、協力水族園館に研究打ち合わせも含め、月に一度程度の頻度で赴き、飼育環境にある小型鯨類(主にバンドウイルカ)より、血液(血清)、唾液、涙などを採取し冷蔵あるいは凍結保存・移送し、実験室で競合的ELISA法にてコルチゾール濃度値を解析するという採取・移送・実験手順を確立した。血清中コルチゾール濃度値と、その他の生体試料中の相関関係の解析の結果、唾液や涙といった生体試料でも、コルチゾールの増減の評価が可能であることを確かめた。行動・鳴音に関しては昼夜を問わず網羅的に記録し、200におよぶ詳細なカタログ(エソグラム)を作成した。行動・鳴音指標は短期的には極端な増減をみせたが、長期的にみて生理ストレスと関連性が高いとされた指標が見出された。それらは、敵対的な社会行動の頻度に関する指標、休息行動に関連した指標、鳴音レパートリーの乱れに関する指標であった。また本実験遂行時に得られた予備的知見として、動物の長期的な疾患が生理ホルモンに大きく影響することもわかった。 上記の成果は、本研究課題で予定していた目的を満たし、飼育小型鯨類の長期ストレス評価に関する基礎的知見を提出し、今後、小型鯨類の飼育技術向上や生理・行動研究への幅広い貢献につながる成果をあげたと言える。
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Research Products
(1 results)