2007 Fiscal Year Annual Research Report
塩害水田において高い収量を維持するイネ突然変異系統の耐性機構と原因遺伝子の解明
Project/Area Number |
19880038
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹久 妃奈子 The Institute of Physical and Chemical Research, 生物照射チーム, リサーチアソシエイト (20455356)
|
Keywords | 塩害耐性 / 突然変異体 / イネ / マッピング / 収量 / 穀粒品質 |
Research Abstract |
申請者は、野外の塩害水田において選抜した、葉身の枯れを抑え、高い収量と穀粒品質を維持できる突然変異系統6-99Lの塩害耐性機構と原因遺伝子を明らかにすることを目的とし、研究を進めている。平成19年度は1)生理実験による6-99Lの塩害耐性機構の推定、2)原因遺伝子の優劣性解析とマッピングに用いる解析集団の作出を行った。1)では、まずNaClを過剰に付与した水耕栽培試験により、6-99LとWTの生育状況を比較した。その結果、NaCl拠理による6-99Lの草丈および乾物重の低下率は、いずれもWTに比較して低い値を示した。このことから、6-99LはWTに比較して過剰なNaCl(塩ストレス)に対して耐性を示すことが示唆された。植物の塩ストレスは、塩が過剰に存在することにより水吸収の阻害を生じる浸透圧ストレスと、塩が過剰に取り込まれることにより細胞内のイオンホメオスタシスの崩壊や代謝の障害を生じるNa^+ストレスとの複合的なストレスであることが知られている。そこで、Polyethylene glycol(PEG)を付与することにより浸透圧ストレス耐性を調査した結果、PEG処理による6-99Lの草丈の低下率はWTに比較して低い値を示した。次に、塩ストレス環境下における植物体地上部組織におけるK^+およびNa^+量を定量した結果、6-99LとWTのK^+/Na^+の変動に有意な差は認められなかった。以上の結果から、6-99LはWTに比較して浸透圧ストレスに対して耐性を有するために、過剰なNaClに対して耐性を示すことが示唆された。さらに、塩害水田で確認された6-99Lの耐性は、浸透圧ストレス耐性機構に関与していると推定された。2)では、原因遺伝子の優劣性解析およびマッピング解析のため、日本晴(Wild-type)と6-99LのF^2集団と、カサラス(インド型品種)と6-99LのF^2集団を作成した。
|
Research Products
(12 results)