2008 Fiscal Year Annual Research Report
高血糖期間の差がインプラント体埋入初期の周囲組織に与える影響
Project/Area Number |
19890009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 薫 Hokkaido University, 病院, 医員 (20451429)
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Keywords | 高血糖期間 / オッセオインテグレーション / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究の目的は, インプラント体埋入前の高血糖期間がインプラント周囲の骨芽細胞と破骨細胞の機能へ与える影響, およびインプラント体埋入初期のインプラント体周囲の細胞への影響を明らかにすることであった. 研究実施計画に基づき, 実験では骨芽細胞と破骨細胞の増殖機能の検索を行い, 実験2ではインプラント体近傍の細胞の遺伝子発現について検索を行った. 実験1の結果では, 高血糖長期群は短期群と比較し, 骨芽細胞はインプラント体埋入1週後において細胞分裂能の高い細胞の数が少ない傾向を示し, 破骨細胞は埋入2週後において分裂能の高い細胞数が少ない傾向を示した. 実験2の結果では, インプラント体埋入1週後において高血糖長期群が短期群と比較し遺伝子発現が2倍以上低い遺伝子を得た. この遺伝子には骨タンパクに結合する接着タンパクと, 破骨細胞が骨吸収する際に重要なタンパクをコードする遺伝子などが含まれていた. これらの結果から, 以前著者が示した高血糖期間が長期にわたるとインプラント体と骨の接触率が低くなる原因の一つは, オッセオインテグレーションに関わる骨芽細胞と破骨細胞の増殖能への影響, 破骨細胞の吸収機能自体への影響, また骨基質との接着への影響により, インプラント体埋入初期にオッセオインテグレーションが獲得しにくい環境にあったことが示唆された. 今後は, この遺伝子の実際の生体における発現を確認, 定量し, さらに, 経時的にどのような遺伝子発現変化があるかを検索したいと考えている.
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