2007 Fiscal Year Annual Research Report
重症度別褥瘡管理における栄養補給量の算出に関する研究
Project/Area Number |
19890058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大場 美穂 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (20451768)
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Keywords | 高齢者 / 褥瘡管理 / ストレス係数 / 基礎代謝量 / 栄養 |
Research Abstract |
栄養状態は褥瘡の発生と予後に大きな影響を及ぼす。現在のところ、栄養補給量はHarris-Benedictによる基礎代謝量の推定式に傷害係数(stress factor)をかけた値をエネルギー消費量であると推測して計算している。しかしながら、この計算に使用している褥瘡保有者の傷害係数は経験値である。従ってまず、褥瘡保有者におけるエネルギー消費量を実測し、現行の障害係数を検証することが急務であると考えられた。そこで褥瘡保有者の基礎代謝量を実測し、栄養補給量を明らかにすることを目的とした。本年度は褥瘡保有者および褥瘡非保有者を対象に横断研究を行い、褥瘡保有者と褥瘡非保有者の基礎代謝量を比較検討した。 対象者は療養型病床群併設病院の入院患者で、I度、II度の部分層創傷(浅い褥瘡)保有者5名、III度、IV度の全層創傷(深い褥瘡)保有者6名、褥瘡非保有者12名であった。年齢73〜96歳、男性7名、BMI18.5未満6名、日常生活自立度C15名、B8名であった。実測した基礎代謝量はHarris-Benedictの予測式による基礎代謝量と比較して褥瘡保有の有無に関わらず少なかった。高齢者においてこの予測式を用いることが妥当であるか検討が必要である。対象人数が少なかったため、統計分析は行わなかったが、体重1kgあたりの基礎代謝量は深い褥瘡の保有者の方が非保有者よりも多い可能性が示唆された。特に創が感染している場合や、ポケットが大きい場合は高い可能性がある。今後、対象者を増やした検討が必要であるが、本研究の成果は、エビデンスに基づいた褥瘡保有者の栄養補給量の決定に有用であり、将来的に臨床現場における利用可能性が高い。
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