2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病に対するワイン関連ポリフェノールの治療効果の検討
Project/Area Number |
19890083
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
濱口 毅 Kanazawa University, 附属病院, 助教 (70452109)
|
Keywords | アルツハイマー病 / モデルマウス / ポリフェノール / ケルセチン / アミロイドβ |
Research Abstract |
脳内のAβ沈着と知能障害が表現できるADモデルマウスであるTg2576APP Swedish miceに、生後6ヶ月目より試験管内にて抗アミロイド効果を認め、アルツハイマー病の治療薬の候補として期待されている赤ワインポリフェノールのケルセチンを0.5%含んだ餌を投与した(予防群)。また別の群では、生後12ヶ月齢より0.5%ケルセチンの投与を開始した(治療群)。累積生存率は、対照群、予防群、治療群の3群間で有意差を認めなかった。予防群の体重(25.0±2.5g)は、生後12ヶ月目で、対照群の体重(22.3±1.5g)と比較して有意に重く(p<0.05)、生後18カ月目には、治療群の体重(26.3±3.5g)も対照群の体重(22.5±2.5g)と比較して有意に重かった(p<0.05)。Y-mazeを用いた行動実験では、経過を通して、運動機能を示すarmentry、認知機能を示すpercent alterationとも有意差を認めなかった。 マウス脳による免疫組織学的検討では、対照群、予防群、治療群の3群間でAβ沈着に有意差を認めなかった。ELISAによるAβ40およびAβ42定量による比較でも、3群間に有意差を認めなかった。 結果をまとめると、赤ワインポリフェノールの1つであるケルセチン経口投与は、アルツハイマー病モデルマウスの体重を増加させるが、行動や認知機能、脳へのAβ沈着へは影響を与えないと考えられた。今回の投与量は、人間に換算すると0.08g/kg/day(FDA criteria for converting drug equivalent dosage across species)に相当し、十分量が投与されており、ケルセチンでのAD予防・治療は難しいものと考える。
|